地域でイベントをつくる側の想い。
その過程で人とつながり、広がっていく。
真庭びと06 谷本吉照(モッツ)さん
移住して、なにが増えたって、イベントに行くことが増えた。
森のなかで、休校になった学校の運動場で、ちょっとした広場で。
「マルシェ」っていうのかな。色とりどりのかわいいテントが建っていて、昔ながらのシブいテントもあって。
子どもは、友だちを見つけてはしゃぎまくっている。
僕たち親は、たまたま来ていた知り合いとしゃべりながら、こだわりのカレーを食べたり、珈琲を飲んだり、ちょっとした小物を見てまわったり。
出店者さんと話すのも楽しい。
ひたすら歩きまわることもなく、ちょうどいい規模感のイベント。
そんなイベントが、真庭にはけっこうあって、とても楽しい。
ふと、出店者さんと笑いあっている男性を見つける。
――谷本吉照(たにもと よしのぶ)さん。
みんなからは、「モッツさん」と呼ばれ、親しまれている。
真庭の各地で、イベントの企画・運営、音響に携わっている「モッツ プランニング」の代表。その日も、企画・運営としてイベントに携わっていた。
笑いあっている輪のなかに、またべつの女性が加わっていく。
そして、またひとり、ふたり。
モッツさんを見ていると、真庭がいかに「人とつながるところか」と思う。
どこに行っても、モッツさんには知り合いがいる。つながっている。
でも、もともとはそうじゃなかった。「Uターンで戻ってきたとき、真庭に知り合いはほとんどいませんでした」とモッツさんは言う。
信じられない。こんなにも知り合いがたくさんいるのに。
どんな風に、たくさんの人たちとつながり、広がっていったのか。
イベントの運営・企画からひも解きながら、そのヒント、――いや、「答え」が知りたくて、モッツさんのもとを訪れた。
いろいろそろっている都会にいたら、そこまで自分が「つくる側」とか「企画する側」になっていなかったと思います
甲田:
モッツさん、……でいいんですよね。
谷本:
(笑)いつもどおり、「モッツ」「モッツさん」で。
甲田:
ありがとうございます!
モッツさんは、北房(ほくぼう)出身で、市外に出られてて、Uターンでまた北房に?
谷本:
そうですね。岡山市とか倉敷市に出てました。
あ、でも、北房を出たり戻ったり、を何回もくり返していた、と言ったほうが正しいかな。高校を卒業して、いちばん最初に就職したのは、北房にある運送会社でした。トラックの運転ですね。
甲田:
(なるほど。モッツさんの肉体は、きっとそのときにつくられたものなんだな)
谷本:
そのあと、岡山市内へ引っ越して、布団の訪問販売を。
北房に戻ってきて、ガソリンスタンドで働いて。倉敷に出て、債権回収業とか。
甲田:
さ、債権回収業っ!
谷本:
……まあまあ(笑)。
甲田:
(……聞けない。なんとなく、そのことについて聞いてはいけない雰囲気がただよっている)
谷本:
ほかに、お仏壇の修繕職人、学童保育とか。音響も。建設会社で、専務をしていたこともありました。
甲田:
専務、ですか!
どうすれば、いきなり建設会社の専務に。
谷本:
建設会社に限らず、ほとんど、人とのつながりがきっかけで。「一緒にやらないか?」と声をかけてもらって。建設会社も「手伝ってほしい」という話から、役がついた感じです。
だから、まともに面接を受けたのは、いちばん最初の運送会社ぐらいで(笑)。
甲田:
そういえばむかし、大手企業の人事部の方に教えてもらったことがあります。「良いご縁って、あんがい履歴書とともにやってこないんですよね」って。
谷本:
地域との関わりもそうだと思います。人とのつながりなので。
甲田:
北房と、岡山市・倉敷市を出入りしていたわけですが、いつかは真庭に戻ってこようという思いが?
谷本:
ありました。建設会社のときも、「軌道にのって落ち着いたら、真庭に帰ります」という前提で、話をしていたので。
甲田:
真庭に戻って、なにかやりたいことがあった、ということですか?
谷本:
将来的には、真庭でライブハウス、音楽スタジオをやりたいな、という思いがずっとありましたね。で、建設会社以降、いまは北房に根づいているから、もう真庭から出ることはないだろうな、と。
甲田:
ちなみに、真庭でやりたいことがあるなかで、それでも岡山・倉敷に出られたのは、なにか理由が?
谷本:
10代、20代のときは、やっぱり都会に憧れて。音楽をやっていたから、とくに。
だから、若者の文化だったりとか、趣味、ファッション、遊び、お店もそう。若い人たちが集まるところに行きたかったんです。
運送会社のあと、岡山市に引っ越したのも、都会に出たい、というのがあって。
甲田:
それはモッツさんに限らず?
谷本:
どうでしょう。でも、全員とは言わないけど、若い子はけっこう持ってる想いなんじゃないかな。「都会には、もうすべてがそろっている」という憧れというか。
ただ、田舎に生まれたからこその「感情」というのがあって。都会には、いろいろそろっている。でも、逆に田舎にはないものが多いからこそ、「自分たちで、ゼロからイチを生み出していく。生み出していくことができる」という。
たとえば、まわりにライブハウスがないから、高校のとき、自分たちでライブを企画して、機材をそろえて、ライブハウスみたいに仕上げて。
自分たちでつくらないといけない。でも、つくっていくうちに、「自分たちでつくれるんだ」という自信になっていく。
たぶん、いろいろそろっている都会にいたら、そこまで自分が「つくる側」とか「企画する側」になっていなかったと思います。
甲田:
その感覚を、子どものころから持っている。
谷本:
そうですね。真庭市って、遊ぶ場所が少ないかもしれないけど、知恵を持った人たちがまわりにいる。だから、そういう「つくる」「企画する」がやりやすい場所だと思います。
地域活動って楽しいな、って。ずっと心のうちにあった、つくること・企画することの喜びみたいなものが、復活しました
甲田:
音楽とか、音響はずっと?
谷本:
バンドは高校生のときからです。音響も、仕事のなかでいちばん長いですね。ほかの仕事をしながら、ずっと音響の仕事もしていたので。
あと、倉敷市の音楽スタジオで働いていた時期もあって、北房の「MIWAスタジオ」でもお世話になりました。
甲田:
「MIWAスタジオ」といえば、坂本信広さん。
谷本:
そうです。プロデューサー業をはじめ、レコーディング・映像制作・イベント企画も。一般社団法人 北房観光協会の企画広報マネージャーや、まにわブライダルプロジェクトでも事務局長を務めていたり。コスモス祭りもそうですね。
とにかく、いろんな顔を持っている方です。そんな坂本さんから仕事をいただくようになって、個人事業の「モッツ プランニング」を立ち上げました。
甲田:
「モッツ プランニング」の事業内容としては?
谷本:
観光に携わること、音響・イベント企画です。
でも、そうして地域のイベントに関わりはじめて、すごくしんどかったです。北房の、たとえば「ぶり市」だったり、「コスモス祭り」だったり。どれも伝統があって、格式があって。根が真面目じゃない自分からすると、なかなかうまく動くことができなくて。
あと、知り合いが少なかったこともあります。当時は、ぜんぜん市内の人たちとつながっていなくて。
甲田:
え、ちょっと信じられないです。
モッツさん、知り合いがめちゃめちゃ多いのに。
谷本:
いまは、おかげさまでそうなんじゃけど、当時はつながっていなくて。
甲田:
そうなんですね。
では、知り合いが増えた「きっかけ」って?
谷本:
北房から足をのばして、久世(くせ:真庭市役所の本庁舎があるなど、真庭のなかの市街地)に出入りするようになってかな。
いちばん最初、久世の白寿庵(はくじゅあん:豆腐屋さん)へ晩ごはんを食べに行って。すると店主、鈴木の尚(なお)くんがいろんな人を紹介してくれて。晩ごはんのあと、岡本旅館にお邪魔したら、今度は、岡本旅館の岡本さんがいろんな人を紹介してくれて。
いきなり、「まにワッショイ」だったんです。
甲田:
「まにワッショイ」、ちょっと説明させてください(笑)。
文化財の旧遷喬尋常小学校を活用した「懐かしの学校給食」をはじめ、バンドを組んでPR活動を行なったり、とにかくおもしろくて、愉快な仲間たち。
町を楽しく遊ぶ、真庭でも有数の地域団体です。
谷本:
(笑)そんな「まにワッショイ」とつながって、久世の人たち、市役所の人とか、勝山とか蒜山とか。いろんなところから来ている人たちとどんどんつながって、一気に広がって。
すげえ面白いなって。そのときに、岡本旅館の岡本さんに言ってもらったんです。「もっと気楽でいいと思うよ」って。それがすごく衝撃的で。
甲田:
地域活動に対して、相当なプレッシャーを感じていたんですね。
谷本:
もちろん必要なプレッシャーなんですけど、岡本さんに言ってもらったことで、すごく気が楽になりました。地域活動への視野が広がったというか。
地域活動って楽しいな、って。ずっと心のうちにあった、つくること・企画することの喜びみたいなものが、岡本さんたちのおかげで復活しました。
「まにワッショイ」のあと、地域おこし協力隊とか、交流定住センターの人たちとつながったのも大きかったです。
甲田:
そうなんですね!
「COCO真庭」を運営しているのが、交流定住センターなので、そう言ってもらえて、めちゃめちゃうれしいです!
谷本:
センターが、人をつないでくれたので。
甲田:
地域おこし協力隊も、真庭市の場合は、南北50kmという広さをカバーしながら、自分が活動するなかで各地域の情報を集約したり、逆に発信したり。
広がりの起点となる活動をしているので、地域おこし協力隊を通して、人とつながっていく、ということもあると思います。
谷本:
「モッツ プランニング」を立ち上げたばかりで、イベント企画・音響、デザイン、機材レンタルで走りはじめて、坂本さんにとてもお世話になってたんじゃけど、地方ではまだまだ、そんなに需要がなくて。音響に予算をとっていなくて。それだけでは食べていけない。
じゃあ、どうしようかな、と考えているときに、真庭市交流定住センターの恭子ちゃん(池田恭子さん)、当時、地域おこし協力隊だったミッチー(古谷有加さん)から声をかけてもらって。
甲田:
「やまびこマーケット」ですね。
谷本:
そうです。いまは、その「やまびこマーケット」の実行委員長もさせてもらっています。
甲田:
「やまびこマーケット」と言えば、真庭有数のマルシェイベント。
目的がおもしろくて、中山間地域・真庭をキャラバンしながら、地域のために活動している人たちの取り組みや商品を広く紹介していくんです。
実際、三世代間交流・地域間交流とか、いろんな交流が生まれています。
谷本:
当時、北房で「ホタルフェス」という音楽イベントをやっていて。その「ホタルフェス」でイベント企画をしていたから、たぶん声がかかったんだと思います。
だからいちばん最初は、実行委員長じゃなくて、企画のアドバイザーみたいなポジションだったんです。
でも、「やまびこマーケット」からですね。イベント企画の仕事が入ってくるようになったのは。
大きくすることが目的じゃなくて、続けていくことが目的の場合、イベントって考え方とかやり方が、ガラッと変わるんです
甲田:
もとをたどっていくと、イベント企画に携わるようになったのは、北房の「ホタルフェス」からなんですね。
谷本:
そうですね。
もともと、「北房サマーフェスティバル」という名前から、「ホタルロック」に変わって、そのあと、いまの「ホタルフェス」という名前になって。
2019年で通算、21年目になるんですけど、僕は「ホタルロック」時代にバンドとして出演して、それからスタッフを経て、代表になりました。
甲田:
「ホタルフェス」での経験が、いまのイベント企画に生かされている?
谷本:
はい。「ホタルフェス」は、ホントに大きいです。
フェスを通じて、ホタルの保護活動もするし。自分たちだけの音楽イベントで終わるんじゃなくて、やっぱり「北房のホタルをみんなに見てもらいたい」という思いがあって。
自分たちの誇りなんですよ、「北房のホタル」っていうのは。
俺たちはそれを見て育ってきているから、当たり前になっているんです。でも、たくさんの観光客が来て、「北房のホタル、マジですげえよ!」とビックリしてくれる。
だから、「ホタルフェス」のとき、出演者たちとの打ち上げでも、ホタルを一緒に見に行って、「すげえ!」ってすごいリアクションが返ってくる。それが楽しみ、みたいな(笑)。
甲田:
あの光景、言葉を失いますもんね。
谷本:
それを残していくためには、「北房のホタル」を守っていかないといけない。
坂本さんからずっと言われていることがあって。「自分たちで楽しいのはもちろんいいけど、それだけじゃいけんよ」って。若いときはわからなかったんじゃけど、企画・運営をする側になって、見えてくるものがありました。
言われていることが何となくわかりはじめて、「北房のホタルを大切にするからこそ、ホタルフェスができている」。じゃあ、自分たちは何をするべきなのか。
そう考えるようになって、イベントの「本当の目的」と「楽しみ」、両方のバランスがとれるようになってきました。
甲田:
イベントを企画・運営するうえで、大変なことは何かありますか?
谷本:
う~ん……。それこそ、イベントの「本当の目的」と「楽しみ」、両方のバランスに関わってくることなんじゃけど。
どのイベントも多くは、みんなが好きとか、趣味で集まっている任意団体なんです。だから、みんなそれぞれに仕事や本業を持っていて。
でも、はじめのうちは気負いもあって、自分のなかでの「ここまでは絶対にやりたい」という想いと、実際そこまでチームとして動けないもどかしさがありました。いまはもう解消されたんですけど。
甲田:
それは、落としどころを見つけて?
谷本:
そもそもの「前提」として、そういうものなんだなと思うようになって。
ずっと自分の想いばっかりで、「こんなこともしたいのに、どうしてみんな、仕事ばかりで時間がつけられないんじゃろう」って思っていたので。
でもよくよく考えてみたら、それぞれみんな生活があるわけで。仕事が最優先、中学生・高校生は学業が最優先。イベントに携わって成績が落ちたら、本末転倒なんですよね。
みんなそれぞれ理由があるなかで参加していて、「じゃあ、そのなかで、できることをやろう」と思うようになりました。大きくすることが目的じゃないよな、と気づいて。
それがいまのイベント企画・運営に生かされていると思います。
甲田:
やるからには大きく、と思ってしまいます(笑)。
谷本:
もちろん、それが目的のイベントもあります。
イベントをする上で、いちばん大切にしているのは、目的が何か、ということだと思っていて。「何のためにやるの?」というところを大切にしているんです。
たとえば単発のイベントで、知名度アップも兼ねて、「とにかく、ドカンと賑やかしたいんじゃ」という場合は、大きくドカンとやっていいんです。
でも、長いこと続けていきたい、地域内外から愛されたい、そういうイベントの場合は、長期的な視野がないまま、ドカンドカンとやっていくと、絶対にあとあとしんどくなります。
大きくすることが目的じゃなくて、続けていくことが目的の場合、イベントって考え方とかやり方が、ガラッと変わるんです。
甲田:
(……これって、真庭市だけの話じゃないかも)
谷本:
でもまだ、関わっている人たちが、その目的を共有できていないことがけっこうあって。なので、企画・運営で入らせてもらうときには、まずその「目的」から話していきます。
そうしてはじめて、「こういう風に計画を立てていきましょう。今回は、ここまでやりましょう」という話をしています。
甲田:
準備段階・イベント当日と、モッツさんって視野が広いというか、気配りがいろんなところまで行き届いていて。
男性が知り得ないはずの「おんなごころ」も見えているとしか思えなくて(笑)。イベント成功の要因になっていると思うんですけど、そのコツって何かあるんですか?
谷本:
(笑)そんなコツがあれば、逆に知りたいです。
でもたとえば、準備段階も含めて、頭のなかに会場マップとか、人の流れとかをイメージするんです。
自分の動き、スタッフの動きも時系列でイメージしながら、「あ、ここではこれがいるな。あそこにはあれが足りてないな」とか。終わって片付けまで、何回もシミュレーションします。晴れの日、雨の日とか、何回もいろんなパターンを。
甲田:
……す、すごいですね。
谷本:
それは、むかしの職業で得たスキルです。
甲田:
むかしの職業って、どれですか??(笑)。
谷本:
債権回収。
甲田:
債権回収っ!
谷本:
当時の上司に教えてもらったんです。
「相手は、いろんな言いわけをしてくる。こちらが何かひとつ言えば、最低でも3つは言いわけが返ってくるだろう。ならば、こちらもその言いわけに対する返しを、それぞれ3パターンずつ、先にシミュレーションして考えておく。そのくり返しで、どんどん言いわけを潰していくと、最終的には、どんな言いわけをされても、自分が思った方向に話が進められる」
甲田:
(……話に、凄みがありすぎて)
谷本:
そのときに鍛えられたものが、いまの対応力につながっているのかな、と。
おかげで、イベントで少々のトラブルが起きても、焦ることはないです。先にトラブルもシミュレーションしているので、「じゃあ、こうしよう」という対応をするだけで。
あと、コツじゃないんじゃけど、記憶のなかに、場所とか風景を残してるかな。
どこに何があるか、とか。そういう記憶が、何か起こったときに「あそこにあるあれを使って」という対応につながっていると思います。
会場マップとか、時系列のシミュレーション。記憶のなかに風景をとどめておく。
そういうことが共有できる人たちがいると、大きな規模でも、比較的少人数の運営でまわすことができます。
「やまびこマーケット」がまさにそうで、恭子ちゃんもミッチーも、それができるから、話が早いんですよね。
代表よりも、主役のほうが大切なんです
甲田:
モッツさんって、子どもの頃からリーダータイプだったんですか?
谷本:
ぜんぜんちがいます(笑)。
トップの二番手とか、サポート役がいちばんしっくり来るんです。リーダーは落ち着かないんですよ。
甲田:
いまでもですか?
谷本:
いまでも、そう思っています。
だから「ホタルフェス」とか「やまびこマーケット」とか、代表を務めさせてもらったりするけど、自分がトップ!という主張は一切したことがなくて。
代表の挨拶も、モゴモゴしながら、なんとかテイだけを整えて(笑)。
代表よりも、主役のほうが大切なんです。
だから、お客さんはもちろん、出店者さんとか、ステージの出演者さんとか。「音響やりたいです」と言ってくれる若い子たちとか。
そういう人たちが「主役」なんです。代表は、そんな「主役」の人たちが楽しめる場づくりの取りまとめ役、だと思っていて。サポートに徹したいです。
甲田:
そういう考えを持っているからこそ、リーダーなんだと思います!
谷本:
ありがとうございます(笑)。
甲田:
イベントの魅力についてもお伺いできれば、と思います。
谷本:
「人とつながる」、「かたちにする」、「楽しい声が聞こえてくる」というところかな。それが、モチベーションにもなっています。
とくに「人とつながる」は大きくて、「やまびこマーケット」にはじめて携わったときは知り合いがほとんどいない。出店者さんも「はじめまして」ばかり。
でも、打ち合わせのときから、少しずつおひとりおひとりと会話を重ねて、「あ、こんな想いでされてるんだ」と深掘りができて。
それまで、浅いお付き合いだった方とも、イベントを通じて深く知る仲になることができました。知っていくと、ますますその人の魅力に触れられるんです。
甲田:
お客さんとして関わるのも楽しいけど、「つくる側」になるのも楽しいですよね。
移住して来られた方の「ファーストステップ」として、イベントを活用するのもいいと思います。
谷本:
イベントを通じて、信頼関係ができるんですよね。
甲田:
移住の方に限らず、「これからイベントに出店したい。でもまだきっかけがない」。そういう方たちに、何かメッセージがあれば。
谷本:
う~ん。
甲田:
「俺に問い合わせてくれ」みたいな。
谷本:
じゃあ、それで(笑)。
甲田:
ええっ!(笑)。
でもホントに、イベント出店を考えたら、モッツさんとつながるのが何より早くて。そういうお手伝いを、COCO真庭でできれば、と思っているんです。
谷本:
ぜひぜひつながりましょう。
甲田:
そのフットワークの軽さ!
イベントのときだけじゃない。普段から、人とつながる「動き」をされていますよね。
谷本:
もともと、長くひとつのことを続けるのが苦手なほうなんです(笑)。あれもこれも経験したくて、知識もほしくて。だから、イベントとか期間が区切られているものがいいんです。
真庭でのライフスタイルですね。
ただ、その結果。
・モッツプランニング
・HOTARU Fes 実行委員長
・やまびこマーケット 代表
・北房音楽クラブ 代表
・一般社団法人 地域支援機構サトビト
・北房観光協会
・北房蛍の文化推進継承の会
・まにわブライダルプロジェクト
・MANIWART
・ハーモニー企画
・初心者ドラム教室講師
甲田:
(笑)ひとり二役、三役の地方とは言え、多すぎるでしょ。
谷本:
とにかく、いろんなところで。
束縛もダメなので(笑)。どうぶつ占いも「ペガサス」でした。一ヶ所で、じっとしていられない。
甲田:
(笑)あと、モッツさんの、珈琲屋としてイベント出店しているのに、珈琲が飲めないっていうエピソード大好きです。
真庭は「やろうと思ったら、何でもできるところ」です
甲田:
これからの展開についてはいかがでしょうか?
谷本:
引きこもりたい(笑)。
休みたい、というわけじゃなくて、真庭に戻ってきてから、音響やイベントを通じて、自分なりの活動をしてきたんじゃけど、これからはもうちょっと「北房」の地域活動に力を入れたいな、と。
やっぱり、自分が育ったところなので。
甲田:
そういう意味での、引きこもる。
谷本:
そうです。これまで、いろんな地域を勉強させてもらって。
もうちょっと、若者が集まれるベースづくりがしたいな、と思っています。ふらふらと遊びに行ったら、いつもだれかがいる、みたいな。人に会いに来る場所がほしいな、って。
北房って、役所の支局があって、高速のインターもあって、スーパー、もちろんコンビニとか、銀行、郵便局。生活をするうえで、完結している場所なんです。
だから逆に、ほかの地域とつながっていかないと、完結したままになってしまう。そういう役割が自分にはあるのかな、と思っています。
地元だけじゃない、まわりからの目とまじわることで、新しいアイデアが生まれることもイベントのなかで学んだので。そういう輪をつくっていきたいです。
甲田:
北房って、とても寛大な地域という印象があって。
だから、移住されてきた人たちを受け入れて、広くつながっていますよね。
谷本:
そういう方たちとも一緒に、クリエイティブなことがしていけたら。
甲田:
一緒に、「企画する側」、「つくる側」になりましょう、と。
谷本:
真庭はとくに、他の市町村と比べて、行政との距離が近い。
市役所とか、北房振興局(北房地域にある、市役所の支局)でも、形式的な会話だけじゃなくて、「地域をどうしたい」とか、プライベートな話もする。市長もそうです。
一緒になって、地域のことを考えてくれるのが大きいと思います。
そのことにも通じるんじゃけど、真庭は「やろうと思ったら、何でもできるところ」です。
甲田:
モッツさんが、それを証明していますよね。
やろうと思ったら、何でもできるところなのに、だれに相談すれば叶うのかわからないまま、というのは絶対に避けたい。
そんなとき、キーマンにつながることができれば、びっくりするぐらい一気に動き出すと思います。北房では、それをモッツさんが担っている。
谷本:
そうなれるよう、がんばります。
甲田:
これからもよろしくお願いします!
谷本:
こちらこそ。
甲田:
今日は、ありがとうございました。
谷本:
ありがとうございました。
取材の後半、僕はずっと、ニマニマしていた。
モッツさんと話すのが楽しい、ということもあるけど、モッツさんから聞きたかったひと言が聞けて、うれしくてたまらなかった。
……正確には、なかば強引に僕が言ったのだけど。
「俺に問い合わせてくれ」
モッツさんとつながったら、真庭の人たちと一気につながる。
まちがいない。
たとえば、移住を希望されている方がいたら、モッツさんとつながることで、真庭での知り合いが一気に増える。真庭の魅力「人」に触れることができる。
○
だから、ぜひモッツさんに問い合わせてください。
絶対、ステキな出会いになります。
もちろん、真庭市交流定住センターでもおつなぎします。
でも、イベントも楽しんでほしいので、サイト「ManiColle」で、真庭のイベントをチェックして、ぜひとも足を運んでください。
すべてではないけれど、モッツさんはイベント会場で会うことができます。
聞き手:甲田智之
写真:石原佑美(@0guzon_y)