発酵に魅せられて|まにわ発酵's
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蒜山高原をはじめ、豊かな自然に囲まれた真庭市。
「林業」や「酪農」といったイメージが強い地域ですが、「発酵文化が根付く町」であることはご存知でしょうか?
真庭市では味噌やチーズ、日本酒など、発酵食品の職人たちが、思いを持って活動されています。
今回は、真庭に発酵文化が根付いている理由や、職人たちの思いを紹介します。
軟水の川と硬水の川が流れる地域
真庭市は、同じ市内を軟水の川と中硬水の川が流れる、全国的にも珍しい地域です。
軟水の川は、蒜山高原を源流とした旭川。
岡山三大河川の1つで、吉備高原を通って瀬戸内海(児島湾)まで流れます。
硬水の川は、北房地域を流れる備中川。
6月になると流域にはホタルが乱舞し、多くの人の憩いの場となります。
実は、発酵食品の決め手になるのは「水」なのです。
軟水と硬水では、発酵食品の味が違ってきます。
お酒に例えると、軟水なら優しい味に、硬水なら辛口に仕上がるのだとか。
市内に軟水と硬水がある独自の土壌が、真庭市に発酵文化が根付いた理由の1つなのです。
時代の変化
発酵とは、微生物(乳酸菌、麹菌、酵母など)のはたらきによって食物が変化し、人間にとって有益に作用することです。
身近な発酵食品では、パンや味噌、お酒などが挙げられます。
真庭市では、古くから味噌や醤油、日本酒などを製造する醸造業が盛んでした。
しかし、時代とともに数は減少。
かつては多くの醸造業者がいましたが、現在では少なくなってしまいました。
発酵を通じたつながり
そんな状況で、なんとか地元の業界を盛り上げたいと動き始めた人たちが「まにわ発酵’s」です。
「発酵」という共通のキーワードでつながり、そこから真庭の魅力を発信できないかと考えたのです。
メンバーは、日本酒・ワイン・クラフトビール・チーズを手がける市内業者。
これだけ多岐に渡る発酵食品が造られている地域は、全国でも珍しいとか。
発酵に魅了され、発酵に恩恵を受けている職人たちは、さまざまな取り組みを展開していきます。
まにわ発酵ツーリズム
2012年に発足して以来、まにわ発酵’sはさまざまなイベントを毎年のように開催されています。
音楽ライブを取り入れたマルシェやレストランとのコラボイベント。
最近では、真庭観光局と連携した「まにわ発酵ツーリズム」を開催されています。
ツアーでは、メンバー企業の蔵や工場を見学し、それぞれの発酵食品を試食。
職人の説明や思いを聞いてから食べるため、美味しさやこだわりをより感じることができます。
また、職人同士がコラボすることで、新たな味も誕生しています。
例えば、日本酒を製造している落酒造と辻本店は、仕込み水を交換して、新たな日本酒の製造に取り組みました。
普段は、落酒造が硬水を、辻本店が軟水を使って日本酒を造られています。
しかし、コラボ企画では、その水を交換。
落酒造が軟水を、辻本店が硬水を使って、日本酒の製造に取り組みました。
製法は同じでも、仕込み水を変えるだけで、味が驚くほど変わるとか。
出来上がった日本酒は、岡山県内をはじめ、全国各地で手に入るようです。
他にも、東京の飲食店でまにわ発酵’sの発酵食品を使ったメニューが楽しめたり、大阪の百貨店で期間限定販売やワークショップを行うなど、さまざまな取り組みを展開。
伝統の味と技を守るという軸を持ちながら、さまざなま挑戦を続けています。
発酵で地域を醸す
発酵を通じてつながり、発酵に熱狂し、多種多様な発酵食品やイベントを生み出している「まにわ発酵’s」。
発酵という1つの言葉で、これだけの広がりを見せる地域も、珍しいのではないでしょうか。
発酵が香りや旨みを醸し出すように、まにわ発酵’sも人と人のつながりを醸し、地域全体を醸していこうとしています。
未来の真庭でも、発酵文化が受け継がれていることを目指して。
まにわ発酵’sのメンバー企業
・河野酢味噌製造工場(酢・味噌・醤油)
・美作ビアワークス(クラフトビール)
・落酒造場(日本酒「大正の鶴」)
・御前酒蔵元 辻本店(日本酒「御前酒」)
・IL RICOTTARO(チーズ)
・蒜山ラッテバンビーノ(チーズ)
・ひるぜんワイナリー(ワイン)
関連リンク
まにわ発酵’s Facebook・Instagram
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