応援するかきもち
韓国出身カンさんが見た心躍る岡山のコト 第17話
応援するかきもち
5年間空き家だった家はなかなか人を入らせてくれなかった。
片付けを始めて4ヶ月、
木と呼んでも良いくらいの草を取って、やっと玄関までの道を作ったごろだった。
’応援します。’
かきもちを持ってきて下さった方は、’中津井に住んでいる本田’だとご自身を紹介した。
優しい味!
オープンまで2ヶ月も残っていない不安は少し降ろしといて、
ぽりぽりと6月の暖かい日を楽しめることができた。
その後も本田さんに会うと
’応援します。’
’応援しているから。’と
いつもおっしゃってくれた。
冬のある夜、
移住した人や無事オープンしたシェアハウスの住人、
地元の方々がランプ小屋「歩空(ほたか)」に集まった。
本田さんも一緒にいたその場で、
山の天辺にあるもみじ公園をキャンプ場にしよう!と話がでた。
詳しいことは覚えてないけど、私たちは飲んで、笑って、踊った(!)。
移住者が中心になったキャップ場ミーティングには、
いつも本田さんもきてくれた。
しかし、本田さんは私たちのテーブルには座らず、
いつも後ろのバーカウンターから私たちの話を聞いているだけだった。
地元の方々へ説明することが出てくると本田さんが話してくれていると、
集まりのメンバーから聞いた。
しばらく会えなかった本田さんに再会したのは、
中津井のお雛祭りだった。
’治療に行ってきたんだ。’
そう言いながらもカメラの前で痩せた手でピースをして下さった。
誰も想像しなかったもみじ公園での西日本最大のキャンプイベントが行われた日、
その山の天辺まで、杖を突いた本田さんがきてくれた。
そして、それが最後だった。
手が届く近い所で、静かに眺めてくれる応援って、
なんと素敵な方法なんだろう。
上からでも下からでもなく同等な人として尊重する、
なんと素敵な人格なんだろう。
今もたまに道の駅でかきもちを買って車の中で食べている。
生産者の名前は変わっているけど、
ぽりぽりと思い出す。
6月の暖かい日や「ほたか」での夜、
岡山県真庭市北房の中津井には
’本田 修二’という素敵な方が住んでいたと、
まだ暖かい応援を覚えていると。
韓国出身カンさんが見た心躍る岡山のコト 第18話をお楽しみに。