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真庭市で鹿肉の美味しさを広めたい。脱サラし猟師へ転身。【真庭市地域おこし協力隊 半田 豊勝】

地域おこし協力隊インタビュー007

2026年03月16日 by COCO真庭

真庭市の中和地区で地域おこし協力隊の猟師として活動する半田 豊勝さん。

半田さんは長年、消防設備士として働きながら、趣味のバイクツーリングで全国を巡っていました。旅の中で真庭市を訪れ、自然の豊かさに魅了されたそう。

移住前から狩猟を行い、休日に郊外の山に通い狩猟していくなかで「狩猟を生業にしたい」という気持ちが芽生えます。思いを叶えるため、安定の仕事を辞め、真庭市の地域おこし協力隊に着任しました。

現在は、真庭市ジビエカーにて鹿の一次処理業務をはじめ、有害鳥獣駆除活動やジビエのPR活動などに取り組んでいます。

半田さんに猟師としての活動内容中和地区での暮らしについて伺いました。

「狩猟を生業にしたい」という思いから、移住

趣味のバイクツーリング

COCO真庭 吉田:まず、真庭市で地域おこし協力隊になった経緯を教えていただけますか?

半田さん:私は神奈川県横浜市出身で、前職では約11年間、消防設備士として勤務していました。

趣味はバイクツーリングで、休日のたびに日本各地を巡っていました。バイクツーリングで真庭市を訪れた際に、絶景が広がる蒜山高原や泉質の良い温泉、美味しい湧水などに魅了され「ここに住みたい」と思うようになって。

また、移住前から狩猟の活動もしていました。元々キャンプやアウトドアが趣味で、その派生で狩猟やジビエに関心を持ち、狩猟免許および銃を所持するようになりました。猟期には週末に車で約2時間かけて郊外の山に出かけて仲間とともに狩猟する。そんな活動のなかで、「狩猟を生業にしたい」という気持ちが芽生えました。

いきなり田舎で狩猟を生業にするのはハードルが高かったので、地域おこし協力隊について経験者から話を聞いたり、Web上で調べたりして、真庭市の地域おこし協力隊にたどり着きました。東京で開催された真庭市の移住セミナーにも参加し、自分のやりたいことができそうな手応えがあったため、地域おこし協力隊に応募したという経緯です。

狩猟を生業にするため活動中の半田さん

COCO真庭 吉田:狩猟に目覚めたきっかけが何かあったのですか?

半田さん:ツーリングで北海道を訪れた際に、猟師さんが営む宿に泊まり、そこで振る舞われた熊や鹿の料理がとても美味しくて感動したんです。そこから興味を持って、ジビエの栄養価の高さを知り、いつの間にかジビエばかりを食べる生活になっていました。

普段から加工食品をあまり食べない生活をしていたので、「安心安全な肉を食べたい」という思いから、「自分の食べる肉は自給率100%」を目指すようになりました。

ジビエは「臭い」「硬い」というイメージがありますが、適した調理法を施せば美味しく食べられます。部位や個体差、狩猟の季節によっても味が変わるので、知れば知るほど面白い食材だなと思います。

COCO真庭 吉田:移住に伴って、何かハードルはありましたか?

半田さん:仕事面で言えば、安定した職を手放すハードルが少しありました。約11年間勤めていたので仕事で頼られることも多く、退職すると期待を裏切ってしまうようで申し訳ない気持ちがありましたが、自分の気持ちを伝えて、円満に退職できました。

一番ハードルを感じたのは、銃を伴う引越しです。というのも、銃を所持していると、銃を保管するガンロッカーと弾をしまう装弾ロッカーを家に設置する必要があり、それらを設置できる家がまったく見つからなかったからです。ほとんどの賃貸のアパートやマンションでは銃を保管することが許されません。オーナー側からしたら、銃を持ち込まれたら怖いと思いますし、当然だと思います。

色々と模索した末に、久世のアパートを借りて、銃は近くの銃砲店に預かってもらうことにしました。

有害鳥獣駆除・解体・ジビエのPRなど幅広く活動

狩猟の様子

COCO真庭 吉田:地域おこし協力隊として、どんな活動をしているか教えていただけますか?

半田さん:真庭市ジビエカーにて鹿の一次処理業務をはじめ、有害鳥獣駆除活動やジビエのPR活動などに取り組んでいます。

有害鳥獣駆除では、鹿や猪による農作物被害や森林被害を防止するために、くくり罠を設置してます。罠にかかった後に、ナイフでの止め刺しが難しい場合、銃を用いることもあります。銃は遠くから仕留めることができますが、「近くに民家がないか?」「道路に面してないか?」「跳弾の危険性はないか?」「射撃する対象物の背面にはバックストップ(壁)があるか?」など銃の取り扱いには気をつけなければなりません。

真庭市内の猟師さんによって捕獲された鹿は真庭市が運用する移動解体施設車「真庭市ジビエカー」に持ち込まれ、皮剥や内臓の摘出などの解体業務(一次処理)を行い枝肉の状態にします。私はその一次処理業務にて活動してます。そしてその枝肉は精肉店に販売され、精肉加工をされて市場に並びます。

ジビエのPR活動としては、イベントやマルシェなどでジビエ料理を提供するお店のお手伝いをさせていただいたり、個人でも出店し鹿肉料理を提供したりすることがあります。

 

まにな里山留学で子供の前で解体

COCO真庭 吉田:猟師は鹿や猪を銃で仕留めているイメージが強いですが、幅広く活動されているのですね。

半田さん:他にも、真庭市が行っているまにわ里山留学」でも活動することもあり、里山留学のプログラムの中にジビエを教材として提供し、罠具の説明や鹿の解体見学を行うこともあります。

参加者に、命を頂き、食肉になるまでのストーリーを知ってもらうのが目的です。少々生々しいシーンもありますが、興味をもってくれる参加者が多く、嬉しく思います。

解体を前に黙りこむ子ども、最初は両手で目を隠していたのに途中から解体をじっと見続ける子ども、イベント後に私と会うたびに「ジビエ食べたい!」と言う子どももいました(笑)。解体見学に参加してくれた子どもたちは、おそらくジビエの印象が変わったんじゃないかと思います。

実は参加者の親御さんからクレームがくるのではないかと心配してましたが、意外にも親御さんたちから好評でした。「解体ショーがあるなら、私も参加したかった」といっていただいたり、むしろ親御さんの方が興味を持たれている様子で驚かされました。

捕獲された鹿の有効活用を進める

鹿肉のPRのためイベント出店

COCO真庭 吉田:活動ではどんな時にやりがいを感じますか?

半田さん:真庭市で、鹿肉が市民の方に食用として受け入れられている様子を見ると、やりがいを感じます。

私が移住してから色んな方に鹿についてお話を聞かせて頂きましたが、真庭市で鹿が増え始めたのはたった10年ほど前で、今まで鹿肉を食べたことがないという方がとても多かったです。そこでもっと鹿肉を知ってもらいたいと、飲食店に営業したり、イベントやマルシェで鹿肉料理のお店を出店したりしています。鹿肉を食べていただくと、「全く臭くない」「こんな味がするんだ」「美味しい」という感想をいただき、従来の鹿肉のイメージを覆せたようで嬉しいです。

本音を言うと、もっと鹿肉が身近なお肉になり、食べられるお店が増えればいいなと思っているのですが、活動の中で難しさを感じています。

COCO真庭 吉田:その難しさは何が原因なのでしょうか?

半田さん:一番大きな原因は、地元の方はジビエを買ってまで食べないという方が多いからです。近所の猟師さんからいただいたりもしますし、ジビエを食べるといっても猪肉の方が好まれていて鹿肉を食べる人が少ないのが現状です。

またジビエ全般で言うと、硬いとか臭いとかのイメージがあったり、安定した食べなれた畜産のお肉を買われる方が多いですね。ジビエは性別や年齢、そして捕獲時期により肉質も味も異なります。なにより捕獲できる保証がないので供給量が不安定なところが難しさだと思います。

それでも、ジビエの価値をより広げるために活動を続けていきます。

目指していた「肉の自給率100%」を実現

猟師は銃のイメージがあるが、罠も用いる

COCO真庭 吉田:有害鳥獣駆除は公益性の高いお仕事ですが、地域の方々から反応をいただくことはありますか?

半田さん:私が住んでいる中和地区は農家さんが多く、鹿や猪によって田畑が荒らされてしまうため、「罠をかけてほしい」とご依頼を多くいただきます。

また、私=鹿肉のイメージを持っていただくことが多くなり、「鹿肉を食べてみたい」と言っていただいたり、マルシェに出店すると鹿肉を食べに来ていただいたりしています。私のビジョンである「ジビエを普及させる」が少しずつ叶っているようで嬉しいです。

COCO真庭 吉田:ご自身では当初、「自分の食べる肉は自給率100%」を掲げていましたよね。

半田さん:おかげさまで、「自分の食べる肉は自給率100%」を実現しました。

それだけでなく、ご近所の農家さんからご厚意で野菜や米をよくいただきます。いただいてばかりだと申し訳ないので私もジビエをお返しするのですが、そうすると自然な形で物々交換が発生し、結果的に食料をほとんど買わずに、ジビエと頂き物でまかなえるようになりました。

公私ともに中和地区に根付く

ジビエカーでの一次処理の様子

COCO真庭 吉田:地域おこし協力隊の活動で大切にしていることは何でしょうか?

半田さん:地域おこし協力隊は市の職員という立場なので、発言や行動で気を配ることは多いです。地域の方々からどう見えるかを気をつけながら、行動しています。

また地域のイベントには積極的に参加しています。例えば「中和紅葉祭」や「中和ふるさとまつり」などで鹿肉料理店を出店しました。

COCO真庭 吉田:半田さんから見て、中和地区はどんなところですか?

半田さん:中和地区は移住者が多いので、とても住みやすいです。

加えて、こだわりの商いをされている方が多いのも魅力です。食材にこだわった飲食店さんや無農薬農家さんなど、匠と言っても過言ではない方々が大勢いらっしゃいます。そんな方々に囲まれて、日々刺激をいただいています。

COCO真庭 吉田:家探しでご苦労されたとのことですが、現在のご自宅はどのように見つけられたのですか?

半田さん:最初は久世のアパートを借りて、蒜山方面で空き家を探していました。その後、ジビエカーで知り合った猟師さんに中和の空き家を紹介してもらい住めることになったのですが、私がジビエの解体をすることに対して所有者や近隣から反対されてしまい、白紙になってしまいました。

住む場所を失い困っていたところ、「まにわ里山留学」の受け入れ先である「はにわの森」のゲストハウスに住ませていただけることになりました。そして、約1年住ませていただき、同じ中和地区の中和定住案内所より空き家情報を頂き、現在の家に住めることになりました。

地域おこし協力隊の任期後は、起業しジビエ処理施設を運営するために、現在の車庫を改築し食肉処理業の認可を取りたいと思っています。

食肉処理業での独立を目指して

鹿肉のPRのためにイベント出店

COCO真庭 吉田:お休みの日はどんな過ごし方をされていますか?

半田さん:家のDIYをすることが多いですね。最近では駐車場の屋根を手作りしました。またプライベートでも狩猟に行くことがあります。公私混同のような感じですね。

これからは、中庭にあるビニールハウスで家庭菜園をしていこうと思います。前にブロッコリー栽培に失敗して悔しい思いをしたので、またリベンジしたいです。自分で育てた野菜は一層おいしく感じますし、食べ物一つひとつにエネルギーが詰まっている感じがします。移住してから、食べることがより楽しくなりました。

COCO真庭 吉田:今後の目標についても教えていただけますか?

半田さん:まもなく地域おこし協力隊3年目になるため、起業へ向けての準備期間に入る予定です。できれば在任中に解体処理施設を完成させたいと思っています。

解体の様子

COCO真庭 吉田:最後に、真庭市への移住を考えている方へメッセージをお願いします。

半田さん:田舎移住は憧れているけどハードルが高いと感じている人にとって、地域おこし協力隊は移住の入り口としてとても良いと思います。地域おこし協力隊になると情報網や人脈に恵まれるので、やりたいことが見つかりやすいですし、またやりたいことが実現するまでの加速度がとても速いと感じます。自己実現への手段として、地域おこし協力隊も選択肢に入れてみると良いかもしれません。

 

取材・執筆:吉田櫻子(X:https://x.com/racco_writer

 

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