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中和地域の取り組み「小さな里山資本主義」とは
地域の取り組み
豊かな里山に囲まれた中和(ちゅうか)地域では、「小さな里山資本主義」という活動に取り組んでいます。
この記事では、「小さな里山資本主義」の内容や、中和地域について紹介します。
そもそも「里山資本主義」とは?
「里山資本主義」とは、「お金がお金を生む経済(マネー資本主義)」だけに依存するのではなく、山や海、森といったお金に換算できない自然由来の地域資源に付加価値を与えることで、持続可能で安心な地域社会をつくろうという、新しい資本主義のカタチのことです。
2013年に、エコノミストの藻谷浩介氏と、NHK広島取材班が出版した著書において提唱された考え方です。
現在のグローバル経済では、人々や自然と共生して持続可能な循環型社会の形成を目指すことよりも、エネルギーや資源を際限なく消費することで利益を増やす、マネー資本主義的な経済システムが一般的です。
しかし、2011年に発生した東日本大震災をきっかけに、「たとえお金があったとしても、システムやネットワークが破綻してしまえば、水も食料も電気も手に入れられない」という、社会構造の弱さが浮き彫りとなりました。
このことから、お金に頼るのではなく、どのような状況下でも生活を維持することのできる仕組みをつくっておこうという「里山資本主義」が注目されるようになりました。
なお、「里山資本主義」は、お金を稼ぐことを否定する考え方ではありません。
マネー資本主義における経済システムの弱さを補う”サブシステム”として考えられています。
お金はほどよく稼ぎながら、できる範囲で自給自足を試みたり、物々交換したりすることで、お金だけにとらわれない、安心なネットワークをつくっておくことが大切であるといわれています。
真庭市中和(ちゅうか)地域とは?
中和地域(旧「中和村」エリア)は、蒜山高原の東側に位置する、人口600人弱の小さな村です。
水田を中心とした、昔ながらの里山風景が色濃く残っているのが特徴。
人々は、里山の恵みを活用しながら、昔ながらの業と知恵を活かした暮らしを営んでいます。
また、近年は移住者も多く、これまでになかった多様な交流も生まれています。
「小さな里山資本主義」の紹介
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中和地域では、地域内での資源循環や、地域の自然資源を活用するといった活動に取り組んでいます。
代表的な取り組みが「薪プロジェクト」です。
中和地域には、温泉宿泊施設「津黒高原荘」があります。
津黒高原荘には、源泉を加温するために、薪ボイラが2基設置されています。
薪ボイラを稼働させるには、燃料となる薪が必要です。
中和地域では、薪を以下のシステムで流通させています。
1:地域住民が山から木を切り出す
2:その木を(一社)アシタカが買い取る
3:(一社)アシタカが買い取った材木を薪に加工し、乾燥させて津黒高原荘に販売する
こうすることで、小さな利益を3者で分け合い、エネルギー・経済を地域内で循環させることができます。
また、中和地域の里山では、クスノキ科の落葉低木「クロモジ」を採取できます。
楊枝や箸として使われている、あのクロモジです。
中和地域では、この里山で採れる自然資源を、お茶やエッセンシャルオイルなどにして、販売しています。
他にも、自然や生き物とふれあえる施設・イベントがあったり、家庭菜園を営む方が多くいたりと、地域の自然資源を活かした地域づくり・暮らしが実践されています。
また、「真庭なりわい塾」という、農山村の暮らしに学びながら、これからのライフスタイルを模索する人材育成塾も開講されています。
◆リンク:リトルワールド中和
まとめ
中和地域で実践されている「小さな里山資本主義」について紹介しました。
中和地域は、今回紹介した取り組みや移住者受け入れの活動など、地域づくりの活動が盛んに行われています。
また、地域の結びつきや行事も、大切に受け継がれています。
ぜひ一度中和地域を訪れて、農山村ならではの豊かな暮らしにふれてみてはいかがでしょうか?
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