お試し協力隊レポート|大森弘暁さん
真庭滞在記
真庭市交流定住センターでは、2泊3日で地域おこし協力隊の業務体験ができる「お試し協力隊」というプログラムを実施しています。
この記事は、2024年7月にお試し協力隊として真庭市を訪れた大森弘暁さんによる体験ポレートです。
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初めまして。
大森弘暁と申します。
真庭市への移住を検討しており、7月14日から3日間、お試し地域おこし協力隊に参加しました。
私は農業や狩猟に関心があり、現役協力隊で狩猟をされている半田さん、そして真庭市で農業をされているHAPPY FARM Plus Rの奥村さんにお話を伺うことができました。
その他の日程も含めて、時系列で3日間の体験を報告させていただきます。
1日目
・シェアハウスいとくる訪問
・ろまん亭にて松尾さんより地域おこし協力隊の説明
初日は10時に、3日間の滞在先である「シェアハウスいとくる」を訪問しました。
いとくるを運営されている藤田さんは、「地域と繋がり、地域のことをもっと知ってもらえるように」という思いから、長期で滞在できるシェアハウスを作ったそうです。
藤田さんにお仕事について伺ったところ、いとくるの運営だけでなく、宿泊施設の管理や映像制作など、複数の仕事をしながら生活されているそうです。
これからの働き方を考えるうえで、藤田さんの働き方は私にとって大変参考になりました。
その後は13時30分ごろまで、いとくるで過ごしました。
その間、真庭市地域おこし協力隊の活動誌「ピオネ」や「真庭の人びと」という冊子を読みました。
「ピオネ」では、これまでの協力隊の方々の活動を垣間見ることができました。
「真庭の人びと」は真庭で活躍されている方々を紹介している冊子で、紹介文章がとても面白く、どんどん読み進めてしまいました。
真庭市で活躍されている方々のことを知ることができ、より真庭市の魅力を感じることができました。
15時から勝山にあるカフェ「ろまん亭」で地域おこし協力隊の説明を受ける予定になっていたので、早めにろまん亭に伺ってランチをいただきました。
注文したのは真庭で採れた11種類の薬草が入ったキーマカレー。
とても美味しかったです。
他にも地元の食材を使用したメニューが用意されており、真庭の食材を楽しむことができるカフェになっていました。
そして、ろまん亭を経営されている松尾さんから、真庭市の地域おこし協力隊の運用について詳しくお聞きしました。
松尾さんは真庭市で第1号の地域おこし協力隊を務められ、真庭市の協力隊の制度設計を担当されたそうです。
松尾さんは協力隊の任期が終わったあとも真庭市に定住してもらえるようにと考え、制度設計をされてきたそうです。
例えば、公益性のある地域活動だけでなく、自己実現(創業など)に向けた時間が確保されていて、年々自己実現のための時間が多くなるように設定されていることです。
そのため、任期中から事業を始めて、任期終了後の生業を任期中から作ることができるようになっているようです。
このような制度の話の他に、協力隊はあくまで脇役であり、主役は地域だというお話も印象に残っています。
地域では協力隊がいなくても地域活動が行われていて、その地域に協力隊がサポートに入るような立場であるとおっしゃっていました。
仮に協力隊がいなくなったとしても、地域に根づくように活動していく必要があるのだと感じました。
2日目
・現役協力隊の活動見学(シカの解体)
・HAPPY FARM + R 奥村さんとお話
2日目は、2024年4月から「ジビエ」をテーマに活動されている、地域おこし協力隊の半田さんの現場を見学しました。
この日は捕獲されたシカを解体する日でした。
真庭市では、解体処理ができる車「ジビエカー」を使って捕獲されたシカの解体を行っており、この日も朝8時30分頃から解体が始まりました。
真庭市のシカの頭数は10年ほど前から徐々に増え、それに伴って獣害が増えてきているようです。
昨年の捕獲頭数は800頭を超えており、今年はそれを上回るペースで捕獲されているとのことでした。
ジビエカーは年間200頭の解体を想定されて用意された施設だとお聞きしました。
シカの捕獲数がジビエカーの想定捕獲数を大幅に超えている現状では、新たな施設が必要になっているようです。
また、捕獲頭数の増加に伴って、シカの販路拡大も課題の一つになっているようです。
過去にはシカの肝臓も販売していたそうですが、現在はかつての売り先にも十分な量が確保できているため廃棄になっているということもお聞きしました。
現在のシカの販路としては、ペット用が9割以上だそうです。
今後の販路拡大をどのようにされていくのか、半田さんのご活躍を応援しております。
また、半田さんから、協力隊になってからの約3ヶ月の生活についてお聞きすることができました。
最初の約2ヶ月は特に、地域のことを知るために地域の方々にお会いしてきたそうです。
現在は週3日ジビエカーでシカの解体をし、残り2日間をシカの販路拡大のために営業に取り組んでいるとおっしゃっていました。
現役協力隊の方から今の生活をお聞きすることができ、協力隊のイメージが膨らみました。
大変に感じていることとして「公私の区別がつきにくい」ということもおっしゃっていて、現役協力隊の方だからこそお聞きできる大変さも知ることができました。
その後はHAPPY FARM Plus Rさんに伺い、代表の奥村さんに農業経営についてお話を伺いました。
どのような品目をどのように販売しているのか、品目の選定理由、カフェを始めた理由などを教えていただきました。
また、私が考えている農業のことや販売方法についてもご意見をいただき、大変参考になりました。
私は「フォレストガーデン」と呼ばれる、果樹や野菜、山菜など食べられる植物で森を作り、そこで作物を育て、収穫し、自給用だけでなく販売もしていきたいと考えています。
収穫物そのものを販売するのか、加工するのか、種まきや収穫などの体験を販売するのか、よりイメージを膨らませていきたいと思いました。
夜はいとくるの藤田さんが食事会を開いてくださいました。
食事中に藤田さんが、「やりたいこと」「できること」「地域から求められること」の3つが重なることと協力隊の活動になるとおっしゃっていました。
協力隊の任期が終了したあとも継続して取り組んでいくために、公益性だけでなく、自分がやりたいこと、できることである必要もあると感じました。
その他にもたくさんお話ができて、とても楽しい交流会になりました。
最終日
・いとくるにてDIYのお手伝い
・市役所にて協力隊の説明
最終日の朝は、いとくるの玄関の土壁を剥がすお手伝いをしました。
「壁の色を変えることで古民家の暗い雰囲気を変えることができる」と藤田さんから教えていただきました。
この壁には漆喰を塗る予定だそうです。
古民家での生活も一つの選択肢として考えているので、貴重な経験になりました。
13時からは真庭市の地域みらい創生課に伺い、地域おこし協力隊の制度や現在の募集状況について伺いました。
真庭市の地域おこし協力隊は、地域や行政が抱えている課題に取り組む「ミッション型」と、隊員がアイデアを出して取り組む「提案型」の2つのタイプがあります。
この時間には主にミッション型でどのような募集があるのか、ミッション型の協力隊はどのような働き方をするのか、教えていただきました。
質問にも丁寧に回答いただき、疑問を解消することができました。
現在の募集はありませんでしたが、農業公社を新設するプロジェクトが進んでおり、このプロジェクトに地域おこし協力隊として関わることができるのではないか、というお話がありました。
提案型として協力隊になることが難しい場合であっても、ミッション型で地域課題に取り組みながら、任期中に自己実現に向けて準備するという選択肢があることを知りました。
その後農業振興課に伺い、農業公社について詳しい説明をお聞きしました。
農業公社は農業の担い手支援といった農業振興に関わる業務を担う組織として設置されるそうです。
現在は立ち上げの段階で、これから実際にどのような業務を担っていくのか決まっていくところだそうです。
今回はミッション型で農業公社に関わることを中心にお話を伺いました。
話を聞いている中で、提案型として協力隊になったとしても、地域活動として農業公社に関わるという選択肢もあるのかなと思いました。
お試し協力隊を終えて
3日間を通して、真庭市の地域おこし協力隊の制度について理解が深まりました。
そして現役協力隊の方や協力隊OBOGの方々ともお話する機会をいただき、協力隊の魅力とともに難しさや大変さも知ることができました。
この3日間の体験で得られた情報は、インターネットの情報から得ることができていなかったこともあり、実際に足を運んで本当に良かったと思っています。
私は以前、移住支援をされている方から、移住者にとっては「家」「仕事」「地域との関わり」という3つが大切だということを教わりました。
地域おこし協力隊は、「仕事」であると同時に「地域との関わり」も得られる仕組みだと感じました。
また、「家」は空き家バンクのような公的な仕組みの他に、地域との繋がりのなかで物件が見つかることもあり、協力隊の制度を利用して地域に入っていくことは、移住者にとって良い選択肢になると感じました。
これから移住の計画を進めるうえで、1つの選択肢として検討していきたいと思います。
このお試し地域おこし協力隊に申し込むにあたって、5月末に真庭市交流定住センターに相談しました。
それから当日まで、私の興味や体験したいことを聞いたうえで計画を作ってくださり、細かく連絡してくださいました。
ご対応いただいた野島さん、そして温かく迎えてくださったセンターの方々、訪問先で出会った皆さん、本当にありがとうございました。