岡山県真庭市
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脇役なんて、とんでもない!

韓国出身カンさんが見た心躍る岡山のコト 第6話

2017年09月29日 by 姜 侖秀(カン ユンス)

[6つ目の話] 脇役なんて、とんでもない!

今日は食べ物の写真が多くなりそうですね。
豆乳をゆっくり加熱すると表面に薄い膜ができます。
その膜を取り上げて乾燥させると甘くて香ばしい「湯葉」になります。
手がかかるうえに腐りやすくて、家庭で簡単に食べられる食材ではありません。

真庭市、久世地域の古い商店街にある豆腐料理専門店、白寿庵(はくじゅあん)と店主の鈴木氏の家族を紹介します。

豆腐店として3代目店主の鈴木さんに危機が訪れたのは今から23年前です。
近くに大手スーパーが続々オープンし、競争できない価格に押されて廃業を考えたそうです。
’豆腐料理店をしたら’と周りからの話に、’私たちの実力で出来るわけがない’と考えていたある日、
有名な豆腐料理屋に行ってみました。

’あら、これよりは私たちが作った料理が美味しいかも’
そう始めた豆腐料理専門店に、大手流通会社に通っていた息子さんが合流し
今日の白寿庵に至りました。

湯葉を取って、最後に残った濃厚な豆乳から少しだけ取れる甘い湯葉を「刺身湯葉」として出しています。
直接豆腐を作っているからこそ出せるこの店の代表メニューです。

「’私たちの暮らしを自分の力で支えれる’
次の世代に渡すことができる「家業」を作れたとの誇りがあります。
最初は生き残ることができるか不安でした。
豆腐は絶対メイン料理にはならないですからね。」

珍しい湯葉料理も美味しいですが
白寿庵に行くたんびに必ず2回以上注文する料理は、豆腐を油で揚げた「生あげ」です。
目立たないから毎日の食卓にあってもおかしくない、
豆腐が本当の主役ではないかと
軽く醤油をつけた生揚げを食べながら考えました。

「何をおっしゃいますか!
こんなに美味しいのが脇役なんて!」

*水曜日定休、日曜は夜営業のみ

お店に入る前から、4代目店主、息子さんの愉快な笑い声が聞こえます。
ランチは湯葉御膳が唯一のメニューです。各種湯葉料理にご飯と汁物がわずか1,080円!
湯葉そば。面白い食感がつゆとよく合います。
餃子の皮の代わりに湯葉を使った湯葉餃子。カリカリして香ばしい食感が逸品です。
いよいよ「刺身ゆば」!豆乳で非常に少量だけ取れるこのメニューもランチセットに!
このように一枚一枚取り上げて乾かします。手がかかるので、家で簡単に食べるものではないです。
平凡だがいつ食べても、いくら食べても飽きない生揚げ!(私の大好物です。)
運が良ければ、その場で揚げた生揚げを味わってみることができます。
口を大きく開いて、ハハハと豪快に笑う息子さんの声に、自然と一緒に笑ってしまいます。
食後の豆乳一杯。’安すぎです!もっともらって下さい!’と言っても、鈴木さんは微笑むだけでした。

韓国出身カンさんが見た心躍る岡山のコト 第7話をお楽しみに

 

姜 侖秀(カン ユンス)

韓国ソウル出身。本業は俳優だと言いながらキムチ作りや多国籍シェアハウスを運営するなど他のことばかりしている。

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