お試し協力隊レポート|松藤弘篤さん
真庭滞在記
真庭市交流定住センターでは、2泊3日で地域おこし協力隊の業務体験ができる「お試し協力隊」というプログラムを実施しています。
この記事は、2024年9月にお試し協力隊として真庭市を訪れた松藤弘篤さんによる体験ポレートです。
松藤さんはお試し協力隊を含め、2週間真庭市に滞在されました。
本記事では、お試し協力隊期間を含む真庭での2週間の様子をお届けします。
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初めまして、松藤弘篤と申します。
現在、日本の暮らしやものづくりが知りたくて、日本各地を巡っています。
今回は真庭市の文化を知るために、お試し地域おこし協力隊に参加しました。
本記事では、私が訪れた真庭市内のスポットを紹介します。
湯原温泉
湯原温泉、全国露天風呂番付で西の横綱に選ばれたようです。
ということで露天風呂界の鶴竜に胸を借りに行ってみました。
温泉街ってワクワクしますよね。
山の中の温泉地なので、落ち着いた雰囲気かなと思ったら、おしゃれなカフェや飲食店があり、旅館も活気があっていい感じです。
そしてもう一つのワクワクポイントが川。
川から温泉が湧いているので湯気が昇っており、幻想的でワクワクします。
ワクワクワクワク言いながら温泉街を奥へ進むと、最奥に目的の「砂湯」が!
川の横、いや川の中か、ありました砂湯。
露天風呂の西の横綱に恥じぬ程、露天。超露天。超混浴。
では小屋で着替えて、いざ入浴。
お湯の温度で四つに区切られており、下流の方から入るのがルールみたいです。
夕暮れ時の綺麗な空を見ながら順番に入っていき、一番上へ。
一番上流のお風呂では、ポコポコと温泉が湧いているのを見ることができます。
いやー大満足。
この温泉が無料だなんて。
地元の人に感謝です。
冬は雪見風呂になるみたいなので、また来たいと思います。
木の駅 勝山木材ふれあい会館
勝山は木材の町。
313号沿いにもこの通り。
ということで「勝山木材ふれあい会館」に来ました。
中に入ると、まず木の良い香りがします。
そして木の床は板が少し動くようになっていて、歩くと心地よい音がします。
さらに木彫りの大きな置物たちがお出迎え。
熊やお爺さんが立ちはだかっているので奥に進むと、食器や椅子や入れ物などたくさんの木で作られた製品が並んでいます。
奥に進んでいくと、加工された木材があります。
様々なサイズや種類があり、小さな木材の詰め放題までありました。
また、同じ敷地内にはそば屋さんとクレープ屋さんも併設されてました。
郷宿
勝山の町並み保存地区の真ん中辺りには「郷宿」という看板の掛かった立派な建物があります。
以前はお蕎麦屋さんだったこの建物は、土間のある二階建ての母屋と離れと蔵があり、母屋と離れの間には水路が通っています。
今後、郷宿は、宿泊・お試し住宅・コワーキングスペース・イベントキッチン・地域の人が集まる場など、様々な役割を持つ施設に生まれ変わる予定らしいです。
私はコワーキングスペースのために和室の一部を掘りごたつにする工事のお手伝いをさせてもらいました。
大工さんの手際のいい仕事を間近で見られてとても勉強になりました。
さらに地域おこし協力隊の細見さんがワークショップの練習ということで、郷宿でお茶会教室を開いてくれました。
郷宿の雰囲気と相まって心安らぎながら茶道について知れるいい体験でした。
細見さんは真庭市周辺のものづくりを中心とした文化を盛り上げようと、今年から協力隊として活動しています。
同世代なので頑張って!
御前酒蔵元辻本店
勝山でお酒造りをされている御前蔵元辻本店に行ってきました。
「御前酒」、名前からしてすごそう。
この御前酒、すごいのは名前だけではありませんでした。
一つ目は使っているお米。
江戸時代に岡山で見つかった原生種「雄町」という酒米を使っています。
雄町は背の高さや穂の大きさ、穂先のひげが特徴的です。
お店の方に教えてもらい、道の駅醍醐の里の向かいにある雄町の田んぼへ行ってみると、隣の食用米との違いが一目瞭然!
雄町は11月頃に収穫なので、9月中旬の今はまだ青く、穂先のひげで白っぽい見た目。
辻本店さんでは、全てお酒をこの雄町で作っています。
二つ目は酵母の増やし方。
アルコールをつくるための酵母の培養方法がとても珍しいんです。
室町時代に奈良県で生み出された「菩提酛」というやり方で、なんと、一度途絶えて日本でこのやり方をしている人は誰もいなくなったのですが、辻本店さんが古文書を基に復活させたんですって!
これはドラマ化希望です。凄すぎ。
そして後々は全部のお酒を菩提酛仕込みでやるんですって。
「全量雄町」と「全量菩提酛」、どちらもリスクはあれど、それを楽しみつつ挑戦し続ける。
こんなお酒造りをしているとこ日本でここだけでは。
もう劇場版もやりましょう。
広島の西条、兵庫の灘に挟まれた岡山にこんな酒造があるとは知りませんでした。
今度、日本酒好きの人に会ったらおすすめします。
僕お酒激弱いんで、味を聞かれたらわかんないんですけど。
木造建築
木材の町、勝山の木造建築二つと、隣町の久世の木造建築に行ってきました。
まずは勝山の武家屋敷館と三浦邸へ。
武家屋敷館は町並み保存地区から少し脇に入ったところにあるのですが、手前のお家も立派なので、間違ってそっちに入りそうになりました。
というのも、外観は武家屋敷にしては慎ましい感じだったので。
中に入ってみるとたくさんの部屋があり、それぞれ部屋の襖の引手の意匠が異なっており、細部におしゃれさが感じられました。
三浦邸に行く前に少し寄り道して、真庭市中央図書館へ。
とても綺麗な図書館です。
ここにも木に関する本のコーナーがあり、真庭市の郷土コーナーも充実していました。
そこに『勝山物語』という本があったので、手に取ると、影に隠れていた薄い本が落ちてしまいました。
あっ、と落ちた本を見ると、『三浦邸の物語』の文字が。
それは協力隊だった方が書いた本でした。
運命的なものを感じた私はその冊子を読んでみることにしました。
そこには、三浦家と勝山の歴史、当時の勝山の人々にとっての三浦邸が、物語として書かれていました。
みなさん、この本を読んでから三浦邸に行くと、三浦邸が倍楽しめます。
三浦邸の玄関でも読めるので、是非。
三浦邸は勝山の街中からすこし離れたところにあります。
秋の訪れと死期の訪れを悟った蝉たちが一層大きく鳴く中、三浦邸は静かに佇んでいました。
椎の木御殿の別名の通り、入り口には大きな椎の木が。
家に使われている木も立派なものばかりで、鍋島焼を使った意匠は『三浦邸の物語』で歴史が説明されています。
時代は少し進んで明治40年、場所はお隣の町久世。
旧遷喬尋常小学校にやってきました。
この建物を設計したのは建築家の江川三郎八。
旧吹屋小学校や旧総社警察署など、岡山で多くの公共施設の設計を手掛け、その建築様式は「江川式建築」と呼ばれています。
この旧遷喬尋常小学校の特徴は、なんと言っても講堂の二重折り上げ格天井。
こんな立派な天井は小学校じゃ普通ありえないですよ。
しかも1階から2階の講堂に行く階段も螺旋階段という凝り具合。
なんとこの旧遷喬尋常小学校と三浦邸は入館料が無料で、武家屋敷館も200円という破格。
もっとお金とっていいのに。
とてもお得に充実した時間が過ごせました。
シェアハウスいとくる
勝山で一週間活動した後、余野という地域へ。
余野では藤田さんが運営する「シェアハウスいとくる」に滞在させてもらいました。
いとくるでの1日目は納屋の掃除のお手伝い。
いとくるは古民家を改装したシェアハウスで、地域の人の手を借りながら作られています。
2日目はトイレの壁に設置する備品を入れる箱を、藤田さんと作りました。
使われなくなったタンスの引き出しを綺麗にして、それを加工し、正方形のかっこいい箱を作ることができました。
自分が作ったものがこれからシェアハウスで使われていくのは嬉しいですね。
この後トイレに入る度、眺めてしまいました。
3日目は小学生と一緒に稲刈りをしました。
この稲はもち米で、5月に小学生が地域の人と田植えをし、12月に余野で伝統的に行われている行事「霜月祭」でお餅として使われます。
慣れた手つきの6年生に教わりながら良い汗をかきました。
4日目は藤田さんと蒜山にある津黒いきものふれあいの里に行きました。
館長さんに蒜山の自然や日本の草原についての話を聞かせていただいた後、すすきを使った箒の作り方を教えていただきました。
すすきの植生を教えてもらいながら作業を進め、30分ほどで完成。
すすきを冬に刈っておけば、箒自体は手軽に作ることができるようです。
紐も麻紐を使ったので、全て自然素材なのも素敵ですね。
5日目は特に予定は無かったので、いとくるの掃除をして、12月に霜月祭が行われる大津神社まで散歩しました。
夜は地域おこし協力隊の森さんに誘ってもらい、久世駅前のエキマエノマエでの久世藝術祭の食事会に参加しました。
久世藝術祭は10月5,6日に久世の商店街と河川敷で開催予定で、河川敷のスケボーパークには日本最大級の大きさのミューラルアートが描かれるんだとか。
真庭にそんなものが現れるなんて、行くしかないですね。
お試し協力隊を終えて
真庭での約2週間の日々を通して、地域おこし協力隊として活動している方々や地域で活動している方々と出会い、真庭市の歴史や文化を知ることができました。
外から見るだけではわからなかった真庭市の魅力を教えていただいた地域のみなさん、ありがとうございました!