ポテト!
韓国出身カンさんが見た心躍る岡山のコト 第18話
ポテト!
家にポテトチップスがあると寝る前の娘は忙しくなる。
夜中に誰かがポテトチップスを食べてしまうのが心配で、どこかに隠すためだ。
皆んながすやすや気持ちよく寝ていると、誰かがぽりぽり美味しくポテトチップスを食べる。
犯人はまた怒られることを分かっている。だけどポテトチップスはどうしても我慢ができない。
子供のお菓子を摘み食いするなんて情けない。しかし、悪いのはポテトだ。
美味しいすぎる!
子供の頃、皮ごとゆでたジャガイモを塩につけて食べるのが大好きだった。
ザラザラ皮にちょうど良い塩気、その中はふわふわと口の中で溶ける。
揚げたジャガイモに目覚めてからは、’ポテト’が付いているお菓子はなんでも大好きだった。
イギリスでは私たちがポテトチップスと読んでいるものはクリスプと言って、ポテトフライはチップスと呼ばれている。
私が住んでいた家の近くにはパキスタン系の人がやっているフライドチキンやバーガーなどを売っている店があった。
1ポンドを出して紙箱いっぱいの’チップス’を良く買って食べた。
イギリスではチップスにお酢を掛けて食べるのが定番だ。
最初は可笑しく感じるかもしれないが、慣れると中毒になってしまう。
今私が一番食べたい’クリスプ’はウォーカーズ(Walkers)ブランドの’塩とお酢(Salt and Vineger)’味だ。
ポテトチップスも美味しいけど、どうせならほかほかのポテトフライが食べたい。
世界どこに行っても気軽にハズレのないポテトフライを食べられるところがある。
それはマックだ。韓国でもイギリスでも日本でもたまに食べに行ったマックだが、一番記憶に残るところはスイスのルーチェルンにあったマックだ。
素敵な景色で幸せを感じながらも、あまりにも高い物価で当時学生だった私はずっとお腹が空いていた。
何か安くて美味しいものを探そうと入ったところが朝のマックだった。
バーガーのセットが日本円で2000円近い値段だったのを気付いたのは、バーガーを一口齧った後だった。
スイスフランからの換算が遅くなってしまったのだ。
バーガーも普通の味、ポテトフライも普通だった。
マックでそこまで後悔することはこれからもないだろう。
2年前に世界最高のポテトフライを売っているマックを見つけた。
同じマックなのに、なんでこんなに味が違うだろうと思うくらい美味しい!いつも揚げたてのポテトフライが食べれる究極のマック!
それは、久世のマックだ。フランチャイズというのは、どこでも同じ環境を作って同じ味を再現する最適なシステムを作ることだと思う。
しかし、それも人間がすることで、全てが計画通りにいかない。
誰も予想できなかった、又は、無視していた小さな何かの理由で、ある日はビチョビチョのポテトフライが、ある日はほかほかカリカリのポテトフライが販売される。
しかし、久世のマックでは100%近い確率で熱々カリカリのポテトフライに当たる。
世界あっちこっちのマックを経験したポテト愛好家の専門的な意見なので、信用しても良いと思う。
ポテトチップスもポテトフライも悪いものではないのに、食べたくなると何かいけないことを欲望している気がしてしまう。
だから一人でこっそり食べるのが私には定番だ。
ドライブスルーでポテトフライとコーラを注文するところだが、バーガーセットの方がお得だから、バーガーまで頼んでしまう。
静かなところで車を止めて熱々のポテトを食べる幸せは、私としては日常で簡単に得られる秘密兵器的なものである。
いつも幸せで生きていれば良いが、それが難しい時があるのも人生。
その時使えるカードが一枚あるのも素敵なことではないかと思う。
だから娘よ。パパを許してくれ!
韓国出身カンさんが見た心躍る岡山のコト 第19話をお楽しみに。