働く場所を提供するだけではない。
真庭市シルバー人材センターは、SDGsを担っている。
里山SDGs 002 真庭市シルバー人材センター
◆「だれひとり、取り残さない」
ほんとうの意味での、「だれひとり」。
それが、「SDGs(Sustainable Development Goals)」のテーマです。
持続可能な開発目標、と訳されるSDGsには、17のゴールがあります。
国連で採択された、と聞くと、なんだか世界規模すぎて、壮大で、ピンと来ないかもしれません。けれど、じつはとっても身近。
だって、「だれひとり」のなかには、自分も、家族も入っているのだから。
しかも、真庭市は、「SDGs未来都市」。
SDGsの達成に取り組んでいる地域なんです。
そんな真庭市で、「SDGsの達成に取り組みます」と宣言した企業・団体をご紹介。
「SDGsって、そういうことなんだ」
「じゃあ、わたしにできるSDGsって、何だろう」
そう思ってもらえたら、うれしいです。
今回は、「真庭市シルバー人材センター」さんです。
◆真庭の年長者は、皆さんどうしてこんなにも元気なんだろう。
真庭の年長者は、皆さんどうしてこんなにも元気なんだろう。
「60代なんて、まだまだ若手じゃけえ」
と笑いながら言われるたびに、返す言葉がありません(笑)。
クルマでの道すがら、よく見かけるのは、斜面の草刈りをされているご年配の方々。
あるいは、家のまえで畑いじりをされていたり、田んぼの近くで談笑していたり、たくさんの荷物を積んで軽トラックを走らせていたり。
身体を使う、「農作業」が身近だから?
真庭の食べものが、栄養たっぷりでおいしいから?
それだけじゃないはず。
自分なりに考えをめぐらせているうちに、「公益社団法人 真庭市シルバー人材センター」さんの存在へ思い至りました。
真庭市シルバー人材センターの事務局長 稲田隆司さんは言います。
「仲間たちと一緒に、地域に貢献している。そういう生きがい・働きがいを感じている会員さんがほとんどです」
その言葉のとおり、シルバー人材センターさんでの取材中、
「こんにちは!」
真っ黒に焼けて、弾ける笑顔で挨拶してくださった、70歳ぐらいの会員さんの姿がとても印象的でした。
◆長寿社会で、地域を支えるチカラになるご年配の方々。
シルバー人材センターとは、60歳以上の会員さんと、企業・個人・公共団体などの働く場をマッチングする公益法人です。
日本は、長寿社会。
真庭市でも60歳以上の方が、人口の46.2%を占めます。(令和2年3月31日現在)
知恵もあって、経験もあって。
そんなご年配の方々に、引きつづき、地域を支えるチカラになってもらえたら。
そのために、「真庭市シルバー人材センター」はあります。
活躍の場は、ほんとうに幅広く、
草刈り・剪定・ふすまや障子のはりかえ・農作業・ハチの巣とり・広報紙などの配達・清掃作業・筆耕(あて名書きなど)・賞状書き・水道の検針・公共施設の夜間や休日の管理
などなど。
しかも、会員さんの最高齢はなんと、91歳!
◆真庭市シルバー人材センターには、「生きがい」と「関わり合い」がある。
「ただ働く場所を提供する」というだけではありません。
稲田さんは言います。
「会員さん同士や、当センター以外の団体さんとも、積極的に関わって、もっといろんな人たち、世代と交流できるように意識しています」
最近では、障がい者の就労継続支援をしている「コスモスワーク」さんと連携して、葉牡丹の販売企画をすすめたり。
サマースクールで、子どもたちに習字を教えたり。
支援の必要な高齢者の掃除や洗濯を手伝う「お助け訪問」も行なっています。
活動をしていくなかで、
「高齢者が、中心になって動かんと」
「自分たちでできることは、自分たちでやろう」
いつしか、会員のうちからそんな気持ちも芽生えてきました、と稲田さん。
ここには、「生きがい」と「関わり合い」がありました。
◆「SDGsは、シルバー人材センターの目的・役割と合致しています」
年長者の皆さんが、「生きがい」と「関わり合い」をもって暮らしている。
ぼくがずっと不思議に思っていた元気の「みなもと」は、この2つにあったのかもしれません。
ご年配の方々が元気だと、「そのまち全体」も元気です。
それって、もうSDGsの「持続可能性」につながっていると思うんです。
まち(に暮らす人たち)が元気でありつづけること。単純だけど、「持続可能性」には欠かせません。
シルバー人材センターさんも「真庭SDGsパートナー宣言書」で掲げています。
SDGsのゴール3「すべての人に健康と福祉を」
SDGsのゴール8「働きがいも 経済成長も」
SDGsのゴール11「住み続けられるまちづくりを」
シルバー人材センターさんの活動は、まさにこの3つに関わっています。
さらに、その3つのゴールをひもといて、
「少子高齢化社会において、地域の機能を維持するために、高齢者の働く意欲を促し、健康で生きがい、地域貢献の意識を高めることができるようにシルバー人材センターの活動を通じて普及を図る」
とも。
稲田さんは言います。
「SDGsは、シルバー人材センターの目的・役割と合致しています」
「これまでの経験を生かして、昔の遊びとか、真庭の歴史とか、そういうことも子どもたちに伝えられたらいいなと思います。いわゆる〈郷育〉ですよね」
「学童の支援員としても、子どもたちと関われたらいいなと思います」
稲田さんのお話で、SDGsの「持続可能性」への考えがより深まっていきました。
SDGsで言われる「持続可能」という言葉はきっと、自分たちの代だけではなく、何世代にもわたって、という意味。
何世代にもわたっていくには、「バトン」が必要です。
つぎの世代につないでいく、「知恵」という名のバトンです。
シルバー人材センターさんは、そういう「世代間の架け橋」となる場所も提供しているんだな、と思いました。
文・取材:甲田 智之
住所:真庭市下市瀬558-1 落合老人福祉センター内
TEL:0867-52-4140
WEB:https://webc.sjc.ne.jp/maniwasc/index