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お試し協力隊レポート|小夏珠々花さん

真庭滞在記

2024年11月29日 by COCO真庭

真庭市交流定住センターでは、2泊3日で地域おこし協力隊の業務体験ができる「お試し協力隊」というプログラムを実施しています。

この記事は、2024年7月にお試し協力隊として真庭市を訪れた小夏珠々花さんによる体験ポレートです。

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7月にお試し地域おこし協力隊をしました「小夏珠々花」と申します。

私は1年半ほど前に農業に興味を持ち、昨年から大学院を休学してさまざまな農家さんに行かせていただいていました。

将来自分も農が身近にある自然の中で暮らしたいと思い、今、パートナーと移住先を探しています。

その中で真庭市を見てみたいと思い、移住ツアーの後、お試し協力隊をさせていただきました。

本記事では2024年7月14日(日)から7月16日(火)に、お試し協力隊として過ごした3日間のレポートを共有いたします。

7月14日(日)

初日の朝に、3日間滞在させていただいた余野という地域にある「シェアハウスいとくる」に到着しました。

そこで、シェアハウスを運営されている藤田さんと少しお話をしました。

藤田さんの生き方や考え方を聞いて、それが私自身の理想の生き方の支えになるように感じました。

具体的には、自分で生きる力を身につけること、そのために知識を増やすだけではなく自分でやってみるということです。

自分で生きるということは、自分で何かを生み出しそれによって収入を得て生活することです。

私の周りでは新卒で企業に入って働いている友達がほとんどです。

それに比べると、これから私がやりたいと思っている農家としての生き方は不安定で、自信をなくしたり不安に思ったりすることもありました。

しかしお話を聞いて、自分がやろうとしていることは単に不安定なものではなく、自分で生きるというある種の力を培っていけるものであって、大丈夫だと背中を押してもらえたように感じました。

もちろんどのような形であっても、働く、生きるということは素晴らしいことだと思いますが、自分のやりたい生き方が、周りと比べてどうというものではなく、たくさんある生き方の一つであって自信を持って選択していいんだと思えました。

そして自分で生きていくためには、なんでも実行してみることが大切だと、改めて教わりました。

藤田さんはシェアハウスの運営以外にも映像の仕事などをしており、収入が一つのところからではなく、さまざまなところからあるそうです。

この日の前日に開かれていたマルシェではジンジャーエールを作って売っていたそうで、パラレルワーカーという働き方をしていました。

さまざまなことをするには、なんでもやってみるということが必要だとわかりました。

知識をたくさん身につけて、完璧を目指して、もっとよくできるようになってから…ではなかなか形になるまでは難しいですが、とりあえずやってみる時間がある働き方なので、実行することを私も大切にしたいと思いました。

この日の午後には、勝山にある「ろまん亭」で、店主の松尾さんから真庭市の地域おこし協力隊についての説明をしていただきました。

これまで他の地域で協力隊の話を聞いたこともありましたが、真庭市の協力隊は、隊員としての3年間だけを考えるのではなく、任期終了後に向けて動く3年間であることがとても印象的でした。

協力隊の仕事には、「地域活動」と「自己実現」があり、「自己実現」の比重を徐々に大きくしていくことで任期の後もスムーズに真庭市に定住して自分の生き方ができるのは、素晴らしい仕組みだなと感じました。

また、協力隊のやりたいことに地域が合わせるのではなく、地域ありきの協力隊でなければいけないということも心に残りました。

真庭市は地域の方が協力隊の制度を理解している人が多く、協力隊の活動が地域のためにもなって、隊員のためにもなる、そんな仕組みづくりが確立されていることがわかりました。

そしてその仕組みを作ったのが、今回お話をしてくださった松尾さんであり、市と協力隊をつなぐ「真庭市交流定住センター」もあることが心強いなと感じました。

7月15日(月)

2日目の朝は、「いとくる」の近所に住んでいらっしゃる入江さんご夫婦にお話を聞きに行きました。

入江さんは田畑で野菜や米を作っていらっしゃるので農業についてお伺いしましたが、お話する中で話題が広がり、地域の課題や困っていることをいくつか教えていただけました。

私がお試し協力隊をしたいと思った理由の一つが地域の課題を知ることだったので、レポートではそれを記していこうと思います。

一つ目は、獣害が増えたことです。

イノシシは10年ほど前から、シカはここ3年で増えているそうです。

畑のものを食べられてしまうため、猟師さんがいて捕ってくれればありがたいとおっしゃっていました。

二つ目は、子どもが減っていることです。

余野地域では、小学校は児童が12人だそうです。

特に学童がないことで、余野の辺りに住んでいても、共働きのご家庭の子は親が働く久世の方へ通うこともあると聞きました。

小学校の存続の危機感や、働く親御さんのために子どもを預けられる場所がないことが課題の一つだとわかりました。

三つ目は、高齢化が進み、歩いたり車で移動したりすることが難しくなっている方が増えていることです。

それを解決するために移動販売を始めている人もいると聞きました。

私とパートナーがやりたいことの一つに「自分たちで作った小麦でパンを焼く」ということがあります。

移動販売でパンや野菜を売ったり、ご高齢の方が必要なものを一緒に届けたりするのもいい方法かもしれない、とお話する中で思いました。

これらの課題は真庭市の特定の地域に限らず起こっていることだと思います。

今回地域の課題を実際に住んでいる方から聞くことができ、自分にも何ができるか考える機会をいただけてよかったです。

その後は、落合にある「Happy farm plus R」さんにお伺いしました。

「Happy farm plus R」さんは、大きな面積で複数の野菜を作っていらっしゃいます。

お伺いした時はナスやピーマンがありました。

また、いちごの小さな苗も見えました。

また今年の4月からカフェがオープンし、いちごスムージーをいただきながらお話を聞きました。

畑で採れたものを加工して売ったり、月に何度かカフェをしたりすることにも興味があるので、カフェについての質問をしました。

カフェメニューは代表の奥村さん自身が考えていらっしゃるそうですが、できるだけ自分で作った品目でできるものを作っているそうです。

どこか別の場所で買うと出てしまう食品ロスがなくなる、原価を抑えることができるという利点があることが分かりました。

また、メニューは試行錯誤しながらどんなものが人気なのかを見ているとお聞きしました。

雨の日はお客さんが少ない等の課題も聞くことができました。

もう一つお話を聞いて印象的だったことは、「野菜は広い視野で見ると足りていない、どのような栽培方法であっても必ず買ってくれる人はいる」ということです。

私が今目指している家族経営規模で野菜を作って売るには、販路を自分で探すことが大変ですが、とても心強いお言葉でした。

お昼ごはんを食べた後、美甘地域をくるっと見て回りました。

美甘の伝統である手まりが軒下に飾られている町並や、田んぼが広がる風景を見ることができました。

真庭市は旧町村が合併してできた市ですが、それぞれの色がまだ残っています。

美甘もその一つであり、市内の他の地域とはまた違ってレトロな雰囲気と静かな空気が流れていました。

その独自の雰囲気は、隣の新庄村と似ていると感じました。

美甘のことはあまり知らないため、次真庭に来るときは、美甘の方にお会いしてぜひさらに深く知りたいと思いました。

この日の夜は「いとくる」で食事会を開いていただきました。

実際に真庭市に住んでいる方や地域おこし協力隊として活動している方のお話を聞くことができました。

実際に住んでみて見えてくることや地域ごとの雰囲気、皆さんが実際に活動していることを知ることができ、楽しい時間でした。

7月16日(日)

最終日の午前中は、「いとくる」のDIYをしました。

玄関の壁に塗ってあったものをはがす作業をしました。

古民家が薄暗く見える理由の一つに、壁の色が暗いことや明かりが小さいことがあると藤田さんから聞きました。

特に玄関は入ってすぐの場所なので、これから壁の色を白にして明るくなるようにするそうです。

そのために、今の茶色の壁をこすって取りました。

初めてのDIYで思ったよりも体を使いましたが、終わったときには達成感がありました。

将来私も家のDIYをしてみたいと思っていたので、経験ができてよかったです。

午後には市役所の地域みらい創生課と農業振興課に行き、市役所の方と松尾さんから地域おこし協力隊についての話を聞きました。

地域みらい創生課は地域おこし協力隊と直接つながる課であって、協力隊の基本的な仕組みや事例等をお伺いすることができました。

今協力隊をされている方は、市から提案された活動に取り組むミッション型よりも自分で一から活動を作り出す提案型の方が多く、多様な活躍をされていると感じました。

どんな形であっても、自分の実現したいことと地域の課題を解決することの両方ができるのは、やりがいのある活動だなと思いました。

農業振興課では、地域おこし協力隊のミッション型の一つである農業公社の取組の説明を聞きました。

農業公社自体は真庭市や他の地域でも以前からあるそうですが、機能性や収益性があり持続できる仕組みづくりをしているとお伺いしました。

これから事業として確立されていくため、農地を活用したり農業を活性化させたり等、働きはさまざまな可能性があることがわかりました。

農業に限らず直面している課題に向き合う取組が真庭市には多く、市全体で活気のある町づくりをしているのだなと感じます。

それが私が真庭市に惹かれた理由の一つにもなりました。

最後に

今回のお試し協力隊の期間で、たくさんの方々とお会いすることができ、さまざまな貴重なお話を聞くことができました。

その中で、地域の課題を知ることができたことが大きな成果です。

そして、お会いした方がされている活動や取組、それをする考え方をお伺いできたことで、自分が地域の中でどのように働くのか、生きるのかということのヒントをたくさんいただけたように感じます。

お試し地域おこし協力隊の行程を組んでくださった、交流定住センターの野島さん、松尾さんをはじめ、お伺いさせていただいた方、関わってくださった方に感謝申し上げます。

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