◆「だれひとり、取り残さない」

ほんとうの意味での、「だれひとり」。
それが、「SDGs(Sustainable Development Goals)」のテーマです。

持続可能な開発目標、と訳されるSDGsには、17のゴールがあります。

国連で採択された、と聞くと、なんだか世界規模すぎて、壮大で、ピンと来ないかもしれません。けれど、じつはとっても身近。
だって、「だれひとり」のなかには、自分も、家族も入っているのだから。

しかも、真庭市は、「SDGs未来都市」。
SDGsの達成に取り組んでいる地域なんです。

そんな真庭市で、「SDGsの達成に取り組みます」と宣言した企業・団体をご紹介。

「SDGsって、そういうことなんだ」
「じゃあ、わたしにできるSDGsって、何だろう」

そう思ってもらえたら、うれしいです。

今回は、道の駅「醍醐(だいご)の里」さんです。
支配人の門野和子さんにお話をおうかがいしました。

*道の駅 醍醐の里 ホームページ

◆身近なSDGsを実践しつづける、道の駅「醍醐の里」

エシカルという言葉を、ご存知ですか?

倫理的・道徳上の、という意味の英語です。
なんとなく難しそうですが、ひらたく言うと、「法律で決まっているわけではないけれど、多くの人たちが〈これって正しいよね。公平だよね〉と思っていること」です。

エシカルと合わせて、最近よく言われるのが「エシカル消費」。

エシカル消費とは、そんな「これって正しいよね。公平だよね」という思いに基づいている消費のこと。地産地消のものであったり、障がい者支援のものであったり。

つまり、何を買うか、考えるときのひとつの尺度。

「身近なSDGs」とも呼ばれています。

じつは、真庭市にある道の駅が、この「エシカル」について、積極的な取り組みをおこなっているんです。

真庭市の落合にある「醍醐(だいご)の里」。
一見、どこにでもある道の駅ですが、その中身はとてもエシカル!

農家さんが持って来られた野菜を、余すことなく使い切っています。
売れ残った野菜たちは、併設しているレストランでしっかりと調理して提供。規格外の野菜たちも、加工して販売しているんです。

・規格外のミニパプリカを、ドライベジタブルへ。
・規格外のきくいもを、チップスへ。
・規格外のブルーベリーを、干しぶどうへ。

これは、ほんの一例。
道の駅「醍醐の里」は、そのほかにもいろんな取り組みをしています。

◆ひとりひとりの「選択」で、未来は大きく変わっていく。

はじまりは、エコバッグづくり教室でした。
しかも、レジ袋が有料化するずいぶん前。SDGsという言葉がひろまるよりも前。

「自分たちにできる環境にいいことを」
という思いで、開催しました。

さらに、「エシカル消費って何だろう?」という勉強会も開催。
だれもが、日常的におこなう「消費」。だからこそ、ひとりひとりがちょっと「意識」を変えるだけで、未来が大きく変わっていきます。

たとえば――。

・エコ商品を選ぶ。
・地元の産品を買う。
・障がいのある人の支援につながる商品を選ぶ。
・フェアトレード(発展途上国の貧しい労働者の生活改善につながる取引)の商品を選ぶ。

など。
ひとりひとりが、そういう「選択」をすることで、未来は変わっていくのです。
反対にいえば、
「たくさんつくって、余ったら廃棄すればいい」
「廃棄したあとのことは何も知らない」
「海外の労働者のことなんて知らない。安かったら何でもいい」
「生きもののこと、自然のことだって、自分には関係ない」

そう思っていると、いつか世界はついえてしまいます。

道の駅「醍醐の里」は、そういう勉強会を積極的に主催しています。

 

◆変わってきた、生産者さんの意識。

やがて、変わってきたのが、「生産者さんの意識」でした。
いつも「醍醐の里」に産品を卸している600人以上の生産者さんです。

あるとき、ひとりの生産者さんが言いました。
「この野菜、規格外なんじゃけど、醍醐の里のレストランで使ってくれん?」
野菜の入った段ボール箱を抱えています。

余ったから、と捨ててしまうのではなく、「なにか活用方法はないだろうか?」と自分たちで考えてくれるようになったのです。

レストランで使いきれなかったものも、捨てません。
肥料(液肥)にして、土壌へ戻し、そしてまた野菜を育てています。加工食品にするものもあります。

すべて大切に使いきる。
それは、生産者さんのモチベーションにもつながります。

 

◆単なる売り場としての道の駅ではなく、交流のできる場へ。

ほかにも、醍醐の里さんは、「福祉施設」、「障がいのある方」や「地元の高校生たち」ともタイアップをしています。

最近、おこなっているのが、ご年配用「配食おべんとうづくり」です。
看護科の高校生が、メニュー開発をおこない、料理に興味のある高校生たちが、それをカタチにしています。
ごはんをやわらかめに炊いて、うすあじのカボチャをつぶして。

障がいのある方がつくられたものも、コーナーを設けて、販売しています。

「新しいものをつくる、というよりも、いまあるものを生かすことを考えています」
と、門野さんは言います。

「ほんとに、〈人〉という宝がここにはたくさんあって。職人クラスの木工をされている方とか、民芸品を趣味でつくられている方とか、布小物をつくる名人とか」

「ここは、観光地にあるような道の駅ではないんですけど、でも、だからこそ、単なるお店ではなくて、地域の交流の場でありたい、と思っています」

集める場所ではなく、しぜんと集まる場所。

SDGsのゴール17は「パートナーシップで、目標を達成しよう」です。

道の駅「醍醐の里」は、パートナーシップが生まれる場所でありつづけています。

◆SDGsを意識することで、本当に必要なものが見えてくる。

「SDGsを意識することで、お店づくりにとって、本当に必要なものが見えてきました」

スリムに、シンプルになったんです、と門野さんは話します。

SDGsは、「目標」です。
その目標をみんなで共有することで、チームに「1本の軸」が生まれます。

みんなが、その「ゴール」を目指して、歩きだすことができるのです。

そしてまた、SDGsの各ゴール、――たとえば、ゴール14「海の豊かさを守ろう」など。
海のない真庭市からは一見、離れているように思えることでも、海の見える街に住む人たちに、思いをめぐらせることができます。

「SDGsを意識すると、思いやりと想像力が働くんです」

門野さんの言葉のとおり、
道の駅「醍醐の里」は、思いやりと想像力に充ちた、エシカルな空間でした。

 

文・取材:甲田 智之

 

道の駅 醍醐の里
住所:真庭市鹿田391-1
TEL:0867-52-8040
WEB:http://www.daigonosato.jp/